統合失調症の墓守女

皆殺しのメロディ

断絶

こんばんは。

 

典型的なアダルトチルドレンとして育ったのは母も祖母もであり、祖母は関西の良家に生まれたのに祖母以外の全ての肉親をなくして養女として祖だてられ、教師の夢を絶たれた人で、母は二人の兄と妹に挾まれた、いわゆるロストワンであった。

 

具合の悪い事に母と妹は誕生日が一日違いで、いつも母の誕生日は忘れられていたという。

 

母を高校すら通わせるのを渋った両親が、妹を短大に入れたのも母の中で心の澱として淀んでいるようだ。

 

父の家系については詳しくない。父は自分の話をあまりしない。肩にある昇り竜の彫り物と、よくみると細く腹に一文字についた傷跡からみると、どう考えてもカタギではなかったのであろう。祖母の手作りの食べ物というものは食べた事がない、と話していたが、日々の食事はどうしていたのだろう。

 

父はとにかくそういった人間で、随分問題を起こしていたらしい。父の親族というものには、一度も会ったことがない。父の実家にも行った事がない。どこにあるのかも知らない。

 

家族は他人の寄せ集めで、つまり、紙一枚でどうにかなる契約であり、しかしながら子供というものは親を選べない。

 

自立できるタイミングが何度もあったが、そういうときに限って何らかの邪魔が起きる。大学に行きたかった。だがその時家庭には蓄えがなく、また国公立に進学して奨学金を借りられる程の知能や知識もなく、結局は専門学校に特待生で入学した。

 

就職も近所の会社にあっさり決まった。金さえ稼げて肉体労働でなければなんでも良かったので、何かになりたいとか、どんな仕事がしたいとか、考えた事もなかった。

 

周りに合わせて就職説明会なども行ったが、あれははっきりいって無駄だったと思う。就職難の頃だったから、会社として成り立っていればどこでも、なんの仕事でも良かった。

 

自立のタイミングには結婚も存在する。

 

別に処女でもなければ交際相手が居なかった訳でもない。結婚という制度が嫌いだっただけである。だから、結婚は前提としないお付き合い、というものをやっていた。

 

恋愛という感情はわからないので、告白は断らなかったし、別れるのも拒まなかった。性行為をする他人で、多少はサービスもする他人、という意味では友人とそう変わりはない。だから、友人に戻った元彼もいる。向こうがセックスをしようというなら、するかもしれない。言わないからしないだけだ。

 

何のために生まれたのかなんて、性行為の結果としかいえないし、この、両親、という他人と他人の死をただしく畳んで静かにひとりで死ぬのが役目だとしかいえない。

 

この一族における「家」という制度は、途切れる事が決まっている。もう、繋げるのには何もかも遅すぎるし、そうしたければ両親は何らかの対策をとるべきだった。

 

だから、誰かが後始末をしなければならない。

 

 

その誰かとは、わたしだ。